める分量が比較的小さいことに照らし,公益を図る目的の存在を否定するものではない。なお,同記事 の削除請求は,当審で訴えの取下げにより終了している。) [15]イ 第1審原告は、重要な社会的地位や影響力を有するものではなく,現在は父親が経営する設計事 務所の手伝いや飲食店アルバイトに従事するにとどまっているが,本件逮捕後に地方公務員採用試験を 受験して公務員になろうと試みたことはある(甲88)。 [16]ウ 現時点(本件口頭弁論終結時)においては,広く利用されている検索事業者であるグーグルの 機能を用いて検索しても(甲90,96,102),本件各投稿記事に関する情報が検索結果として表示される ことはない。本件各投稿記事が引用するインターネット上の報道記事も,すでに削除されている(乙23 )。第1審原告が本件逮捕を理由に就職や交友関係などで不利益を受けたと考えている出来事は,いずれ も平成28年以前(刑の消滅前)の出来事であって,グーグルなど一般的な検索事業者の提供する検索機 能により本件逮捕の事実が知られたことが原因と推定される。そして,ツイッターの検索機能の利用頻 度は,グーグルなど一般的な検索事業者の提供する検索機能ほどには高くないことは,公知の事実であ る。そうすると,本件逮捕の事実が伝達される範囲はある程度限られ,かつ,本件各投稿記事によって 第1審原告が具体的被害を被る可能性も��下しているということができる。なお,第1審原告は,平成▲ 年▲月に婚姻したが,配偶者やその家族には本件逮捕や罰金刑確定の事実は伝えていない。 [17]エ 以上の事実を総合すると,罰金の納付(平成24年5月30日)から5年が経過して刑の消滅の効果 (刑法34条の2)が発生し,その後更に3年近くが経過したこと及び第1審原告が本件各投稿記事が一般の 閲覧に供されることにより各種の社会的な不利益を受ける可能性が消滅したわけではないことを考慮し ても,被疑事実の内容や本件各投稿記事が公共の利害に係り公益目的で投稿されたこと,既にグーグル などの一般的な検索サイトでは本件逮捕の事実が検索結果として表示されることはなく,具体的な不利 益を受ける可能性が低下していることなどに鑑みれば,本件において,本件各投稿記事を一般の閲覧に 供する諸事情よりも本件逮捕の事実を公表されない法的利益が優越することが明らかであるとはいえな い。 [18] よって,第1審原告による本件各投稿記事の削除請求は理由がない。 (3) 第1審原告の当審における追加主張について [19] (1)及び(2)において説示したところによれば,少なくとも第1審原告が本件訴訟において主張する プライバシー権(本件逮捕の事実をみだりに公表されないこと)が,物権と同様の排他性を有する権利 であるとはいえない。よって,第1審原告の当審における追加主張を採用することはできない。 第4 結論 [20] 以上によれば,第1審原告の請求を認容した原判決の結論は失当であり,本件控訴は理由がある。 よって,原判決を取消し,第1審原告の請求(当審で訴えの取下げがあった部分を除く。)を棄却するこ ととして,主文のとおり判決する。 裁判長裁判官 野山宏 裁判官橋本英史及び裁判官片瀬亮は,差し支えにつき,署名押印できない。 裁判官 野山宏 ■第一審判決 ■控訴審判決 ■上告審判決 ■判決一覧

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